こんにちは。ひとりで.comです。
2017年11月16日放送のカンブリア宮殿は「人気の”グルメ系”回転寿司チェーン!女性目線で大改革!」と題してアールディーシー 会長 久志本 京子(くしもと きょうこ)さんが登場します。
埼玉県を起点に全国展開する回転寿司チェーン、「がってん寿司」。100円均一とは一線を画す、”グルメ回転寿司”と呼ばれる業態で、単価2000円で本格寿司が堪能できる。「手に届く贅沢」をモットーに急成長してきた。
2011年、カリスマ創業者の急逝というピンチを切り抜けて復活を果たし、女性トップならではの視点で、新たなチャレンジを続ける。最近は、「かっぱ寿司」「元気寿司」「くら寿司」「スシロー」「はま寿司」の大手5社に対抗する、”グルメ系”の連合、独自の協会を設立した。後継者不足に悩む、地方のすし店を買収するなど、寿司文化の継承にも力を注ぐ。埼玉発、人気回転寿司の全貌に迫る。
人気の”グルメ系”回転寿司チェーン 女性目線で大改革!
【目次】
埼玉発祥の外食チェーン:回転寿司業界第6位のがってん寿司
埼玉県の国道16号沿いは、回転寿司店や牛丼チェーンなどの飲食店が数多く軒を連ねる外食激戦区。それもそのはず、埼玉県民は大の外食好きで外食への支出額は東京・愛知についで全国3位となっている。
そのため、埼玉発祥の外食チェーンが数多くある。例えばかかしのマークでおなじみ、関東に169店舗を展開してる山田うどんもそのひとつである。メインはうどんだが、サイドメニューも充実している。さらに所沢が発祥のぎょうざのチェーン、ぎょうざの満洲もある。現在86店舗を展開している。1日にぎょうざが36万個も売れるという。
そして、今日の主役も埼玉県発祥である。それが回転寿司チェーン「がってん寿司」である。海がない埼玉県にも関わらず関東に135店舗を展開している。売上は回転寿司業界第6位に位置する。それ以上の順位には、安さで勝負する回転寿司が並んでいるが、がってん寿司はネタの良さで勝負をするグルメ回転寿司という業態で勝負している。そのコンセプトは「手の届くぜいたく」である。
がってん寿司:3つの特徴
その特徴のひとつがロボットではなく自前で教育した職人が手で握ってくれることである。仕込みたてのネタを鮮度の良い状態でお客さんに提供することができる。がってん寿司の職人の実力は、TVチャンピオンのはや握り選手権で2年連続で優勝するほどの腕前である。
特徴その2は、おすすめタイムである。回転寿司では珍しいのどぐろなどの高級魚を、その日のオススメメニューとして提供している。このオススメネタはその日の水揚げによって日替わりとなる。
特徴その3は、お店ごとに違うメニューである。がってん寿司は、埼玉県だけでなく、東京にも進出し始めており、現在東京では11店舗を展開している。駅前立地のお店では、アルコールのつまみとなるようなメニューも提供している。
がってん寿司の仕入れの秘密
がってん寿司の仕入れには大きな秘密がある。
築地市場のセリがほぼ終わった時間に市場に向かい、売れ残っている高級魚を安く買うスタイルで、良い食材を安く手に入れているのである。
築地の仲卸も本当は高く売りたいが、売れ残ってしまうぐらいであれば値段を下げてでも売りたいと考える。その瞬間を狙って買い付けを行っているのである。
こうすることによって、セリでの価格より2割ほど下げて仕入れることができるのである。これをセリ残と呼んでいるという。
しかし、ここで仕入れる魚は全店舗に渡すほどの物量は手に入らないため、安く仕入れた珍しい魚については、各店の特徴をを見極めて振り分けていくスタイルをとっている。
これががってん寿司のオススメタイムに出てくるのである。
経理のパートから会長へ、激動のがってん寿司
埼玉県熊谷市にあるがってん寿司の本社では、ある商品の開発会議が行われていた。それが、お正月にかかせないおせち料理である。
いまや600億円とも言われるおせち市場。大手回転寿司チェーンも続々参入している。競合他社はおよそ1万円ほどのものが多いが、グルメ路線のがってん寿司は2万円の価格設定を行っている。
いまや一大チェーンとなったがってん寿司 の会長 久志本 京子、当初は役員になる気はさらさらなかったという。
がってん寿司は1967年、埼玉県の寄居町で「元禄寿司」のフランチャイズチェーンとしてオープンした。がってん寿司 を始めたのは久志本 京子さんの兄、大島敏さんである。この大島敏さんはその前まで歯医者を営んでいた。実は実家が飲食店をやっており、少年時代の夢であった料理人になる夢が捨てきれなかったのである。
一方、妹の久志本 京子さんは薬科大学を卒業し薬剤師となった。その後結婚し専業主婦となった。家のローンの足しにするためパートで雇ってくれないかと兄に頼んだのががってん寿司 に入社するきっかけだった。
最初に与えられたのが経理の仕事。慣れない経理の仕事だったが、いつしか経理部門のトップになっていた。兄を陰で支えていた。そして1995年、兄は元禄寿司から独立し、「がってん寿司」を旗揚げするに至った。そこで打ち出したのが、激安の回転寿司と一線を画すグルメ路線のの回転寿司である。
がってん寿司は2006年、時代の波に乗り100店舗を達成するまでに成長した。
がってん寿司最大の危機:東日本大震災と兄の急逝
しかし、2011年最大の危機が訪れる。それが東日本大震災である。がってん寿司 でも計画停電などの影響により営業できない日々が続いた。何より東北の漁港や物量網の被害で仕入れも影響も受け、店の売上も極端に減少した。
そんなさなか、さらに追い打ちをかける出来事として社長だった兄が心筋梗塞で急逝した。享年61歳だった。そこで妹の久志本 京子さんが後継者となったのである。
会社を愛し、従業員思いだった兄の後を継ぎなんとか従業員を露頭に迷わさないようにと後継者となった久志本 京子さんだが、その後頼りにしていた従業員が次々と対処港していってしまった。
なんとか、従業員の心をひとつにまとめなければ…と、はじめたのが従業員総会である。これまでも従業員総会はあったが、いつしかからか自然消滅していた。それを復活させたのである。従業員総会では、店舗ごとの早握りコンテストを行うなどして、少しずつ社員のモチベーション復活を図ることができた。
さらに、従業員感謝祭も実施。従業員とその家族をエリアごとに店舗に招待してがってん寿司を振る舞うということを行い、昔からあった家族ぐるみでの付き合いのその原点を見直したのである。
久志本 京子さんが社長になってから、新たにはじめたことがある。それが女性だけで組織された商品開発の会長特命チームである。流行りは女性が作る…ということを念頭に回転寿司の女性客目線でのメニュー開発を担っているのである。
兄の大切にしていた将来のビジョン
兄の後を継いでから6年、がってん寿司を運営するアールディーシーグループは売上が1.5倍になった(2011年:235億円→2016年:373億円)。そんな久志本 京子さんが大切にしているのが、生前兄が立てた将来のビジョンである。そこには…
- 社員ののれん分け
- ホスピタリティの育成
- 3つ以上の新業態開発
- 目に見えるキャリアプラン
- 23区内出店
- 会社を通じてボランティア
- 稼げる本部
- M&A
- S&B
- 海外への道
久志本 京子さんはその多くを達成してきた。
がってん寿司の新業態
がってん寿司の新業態のお店が埼玉県上尾市にある。それがとん敏 上尾店である。ここは、お店の名前の通りとんかつを提供しているお店である。
コンセプトはがってん寿司と同様に”手の届くぜいたく”として、山形県の平田牧場の三元豚など、高級な豚肉を使用している。
アールディーシーグループでは、とんかつ業態だけでも5ブランド37店舗を展開している。
さらに東京スカイツリーのお膝元のソラマチでは、石焼ビビンバのお店も展開している。さらに東京の銀座では、ポルトガル料理の専門店を展開している。
グルメ回転寿司で大手格安回転寿司チェーン店に挑む
いま、がってん寿司が進めているのが、グルメ回転寿司チェーンの連合体である。日本回転寿司協会という協会を作り、全国のグルメ回転寿司26社が参加する協会を作った。
取材の日は、神奈川県を中心に展開している独楽寿司というチェーン店で行われた。この日は創作寿司研究会と題して、独楽寿司の寿司職人が講師をつとめ、創作寿司のいろはを教えていた。実はこの独楽寿司の地引淳さんという職人は、創作寿司の世界チャンピオンなのである。
ゆくゆくはこの連合で寿司ネタの共同仕入れも計画しているのだという。