こんにちは。ひとりで.comです。
2017年11月23日放送のカンブリア宮殿は「地方を盛り上げる切り札! いま注目の「地域商社」の全貌」と題してファーマーズ・フォレスト 代表取締役社長 松本 謙(まつもと ゆずる)氏が登場。
栃木県宇都宮市にある「道の駅うつのみやろまんちっく村」。
広大な敷地の中には、農産物直売所を始め、体験農場、ドッグラン、温水プール、温泉、ホテルなどが立ち並び、年間140万人が訪れる人気の施設となっている。運営しているのはこの敷地内に本社を置くファーマーズ・フォレスト。
同社は、道の駅の運営にとどまらず、地元の小規模農家が都心のスーパーで農産品を売る仕組みを構築したり、廃墟のようになっていた採石場を大人気の観光スポットに変貌させたりと、様々な領域にビジネスのフィールドを広げている。
社長の松本が目指すのは、栃木を丸ごとプロデュースすること。今、こうしたビジネスを実践する組織は「地域商社」と呼ばれ、地方創生の切り札として注目を集めている。ファーマーズ・フォレストが見つめる日本の「地方」の未来とは。その全貌に迫る。
地方を盛り上げる切り札! いま注目の「地域商社」の全貌
【目次】
栃木県の人気の道の駅「ろまんちっく村」
行楽の秋も佳境を迎えている。
ろまんちっく村の人気の秘密①:体験
体験したい道の駅ランキングで東日本1位に輝いたほどである。どんな体験ができるのか…。広大な森をハイキングできたと思えば、その先にある畑で芋掘り体験ができる。
さらに、お昼ごはんにと、パン作り体験もできる。
宿泊施設も用意されており、1泊1人8,000円からとリーズナブルな価格設定となっている。
今でこそ大人気のろまんちっく村だが、もともとここは道の駅ではなかった。ろまんちっく村は1996年、第3セクター運営の農林公園として誕生した。しかし、熱帯温室ぐらいしかウリがなく客足は落ちる一方だった。そこで宇都宮市は、民間に運営を委託することを決めた。
そこで、手を挙げたのが、ファーマーズフォレストの松本謙社長だったのである。
松本謙社長はろまんちっく村を道の駅に改装し、売上高22億円、従業員220人の規模まで成長させた。集客アップの秘訣は、地域の知られざる魅力の発掘にあるのだという。
ろまんちっく村で販売されているのは野菜だけではなく、パンも販売されている。このパン…意外なところから発掘してきたのだという。このパンを作っているのは萬堂工房。本業が看板屋のご主人が手作りで石窯を作り、趣味で焼いていたものなのだという。
はじめは近所の人のみに販売士ていたのだが、直売所においてみないかとファーマーズフォレストの社員が口説き落としたのだという。今では、本業の看板屋さんが開店休業の状態になっている。
人気の理由その②:観光ツアー
道の駅を出発して観光客が向かうのは、大谷石採掘場跡地。20年以上使われていなかったところを地主と交渉しファーマーズフォレストが整備を行い、予約が殺到する地底湖探検ツアーとしたのである。
採掘場の中をすすむと地底湖があり、用意されたゴムボートで先を進むと、なんとも神秘的な光景が目の前に広がる。
地底湖から出ると地元食材を使ったフレンチが用意されており、体験と食を組み合わせたツアーを提供しているのである。
ファーマーズフォレストでは、こうした体験型ツアーとともに、地域の課題解決ツアーも実施している。そのひとつが紅茶の手作り体験ツアーである。
体験ツアーを行うことができる八溝地区は江戸時代から続く日本茶の産地。しかし、1960年代から人口減少とともに茶畑も荒廃していってしまっていた。そこでファーマーズフォレストが観光ツアーと組み合わせて茶畑の再生を行ったのである。
日本茶だと、静岡県などの有名産地に負けてしまうため、紅茶に切り替えることも提案した。それ以外にも竹林ツアーや林業体験ツアーなども提供している。
ろまんちっく村:今に至るまでの壮絶な戦い
今でこそ人気のスポットとなったろまんちっく村。しかし、ここに至るまでは壮絶な戦いがあったのだという。
ファーマーズフォレストの松本謙社長は、長野県軽井沢町生まれ。慶應義塾大学を卒業後、施設管理会社に就職した。そこで、さいたまスーパーアリーナの管理・運営、温泉旅館の再生事業を手掛けた。
しかし、そうした、大きなプロジェクトの立ち上げと引き渡しの繰り返しの仕事に物足りなさを感じていた。そんな矢先に、ろまんちっく村の運営会社の募集を耳にしたのだという。実際に現地を視察して「これだ」と思ったのだ。
松本謙社長は、会社を退職し、2007年にファーマーズフォレストを設立した。真っ先に取り組んだのは、直売所の大改革だった。当時、運営を農協に丸投げしていたのを直営に切り替えたのである。
ところが…待っていたのは社員の猛反発だった。実は、その当時の社員の大半は第3セクター時代からの社員だった。したがって、彼らは自分たちがこれまでしてきたことを否定されることを嫌ったのである。
そんな状況の中、松本謙社長を奮い立たせたのは、農家の方の言葉だったという。
会社の下にどれだけの生産者がいるのか見えているのか。もしここで改革を辞めたら、どれだけの生産者を裏切るのかわかっているのか
その言葉を胸に松本謙社長は、従業員との対話を丁寧に続け、地域の活性化につなげようと訴え続けたのである。
地域商社として栃木を発信するファーマーズフォレスト
農家と都心のスーパーを繋ぐ流通業も行うファーマーズフォレスト。最近では地域商社とも呼ばれるようになっている。地域商社として、外に発信を行うことが地方創生のカギを握ると、日本政策投資銀行の中村郁博氏は語る。
ファーマーズフォレストの地域商社としての活動はさらに広がっている。トチギフトというファーマーズフォレスト発行の通販誌。ろまんちっく村で扱っている農産物や加工品の260品目を掲載している。同じ名前の通販サイトも立ち上げ、栃木に来られない人たちのために栃木の情報を発信しているのである。
さらには、エフエム栃木にて、週に1度は農産物のPRも行っている。
さらに東京スカイツリーのお膝元のソラマチ内にある栃木県のアンテナショップ「とちまるショプ」。このアンテナショップの運営もファーマーズフォレストが運営を行っている。