こんにちは。ひとりで.comです。
2017年11月25日放送のNEC presentsミライダネは「見えない泡を作れ!驚きの泡パワー」と題して、ウルトラファインバブルという泡を特集する。
炭酸ジュースやお風呂などで見かける「泡」。
実はこの泡、大きさが変わると面白い性質を示すようになります。特にウルトラファインバブルと呼ばれる、1マイクロメーター(1000分の1mm)以下の目には見えない小さな泡になることで、水に溶け込んだ状態となり驚きの効果を持つようになります。
なんと汚れを落としたり 魚の鮮度を長持ちさせたり、果ては野菜を短期間で大きく成長させたり・・・知られざる泡の技術に迫ります。
ウルトラファインバブルの広がり
泡の力で汚れが落ちる?
皆さんはマイクロファインバブルという泡をご存知でしょうか?いま、このマイクロファインバブル、そしてそれよりさらに粒度が細かいウルトラファインバブルがさまざまな分野で使われ始めている。
例えばお風呂。お風呂のジャグジーの泡よりもかなり小さく、直径は0.03ミリほどだという。このマイクロファインバブル、なんとこの泡に体を当てるだけで体の汚れが落ちてしまうのだという。
このお風呂の商品を開発したメーカーは東京都千代田区に本社を置くサイエンスという企業。泡は汚れに吸着する性質を持っており、余分な皮脂や角質などを浮力でとってしまうのだという。
サイエンスはバスタブに取り付ける装置にとどまらず、シャワーキャップに取り付けるだけでマイクロファインバブルを発生させられる装置も製造している。
また、ウルトラファインバブルは食の分野にも進出しており、キユーピーが提供している業務用のマヨネーズにも目に見えない小さな泡が入っているのだという。泡が入るだけで、酸味がまろやかになり口溶けが良くなるのだという。
さらに、洗濯機にもウルトラファインバブルが活用されており、東芝などの白物家電メーカーがウルトラファインバブルをうたった製品を販売している。
ウルトラファインバブルの第一人者:寺坂宏一教授
ウルトラファインバブルの第一人者は、慶應義塾大学の理工学部寺坂宏一教授である。泡研究ひとすじ30年だという。
ウルトラファインバブルは直径1000分の1以下の非常に細かい泡である。炭酸水のような少し大きめの泡の場合、浮力で水面に浮き上がり空気と一体化してなくなってしまうのだが、ウルトラファインバブルの場合は、小さすぎるため浮力がなく水中をずっと漂っているという特徴をもっている。
ウルトラファインバブルは汚れを落とす研究に役立っており、現在一部の高速道路のトイレ清掃にも使われ始めているのだという。これによって以前に比べて、使う水の量は100分の1に、作業時間は3割減ったのだという。
炭酸水のペットボトルを空けた時に、泡が浮き上がってくるのをよく見ることがあるかと思います。ウルトラファインバブルを作る際もこれと同じ原理を利用しているのである。炭酸水のペットボトルでも、ウルトラファインバブルのような小さな泡が出来ており、これを集めてウルトラファインバブルを作っているのである。
寺坂宏一教授が泡の研究を始めたのは大学時代の頃。泡の見た目の美しさに興味を持ったのがきっかけだったのだという。その時に取り組んだのは空気に泡を溶かす研究だった。あまり人気のある分野ではなかった。しかし、あることをきっかけに注目が集まるようになった。
1998年、広島で赤潮の影響により養殖のカキが死滅するという事態が起こった。被害総額は45億円にのぼったという。赤潮は海の中の酸素量を激減させてしまうため、カキが酸素不足で死滅してしまったのである。そこで、海の中の酸素量を増やすために泡が使われたのである。
すると、生き残ったカキが大きく成長するという現象が発生し、泡の力が見直されたのである。この出来事をきっかけに寺坂宏一教授は泡に人生を捧げようと決めたのである。
ウルトラファインバブルで魚の鮮度が長持ちする?
ウルトラファインバブルは、漁業の世界でも活躍をし始めており、北九州の漁港の丸福水産では、空気の泡ではなく窒素の泡を活用している。
窒素の泡がたっぷりはいった水槽に仕入れた魚を入れて20分ほど放置する…すると鮮度が良くなるのだという。これは窒素の泡が魚の酸素を取り除く働きをしており酸化を防止する役割を担っているのだと考えられている。
魚の身に酸素が残っている状態で保存を行うと、身の酸化や最近の増殖が発生し腐ってしまう原因にもなってしまう。窒素の泡入りのウルトラファインバブルにつけることによって、魚の身や表面に窒素が行き渡る。窒素の泡が腐敗の原因となる酸素を魚から追い出すため、鮮度が長持ちするという仕組みである。
ウルトラファインバブルで野菜を栽培
ウルトラファインバブルは、農業の世界でも活躍し始めている。野菜の場合は、窒素ではなく酸素を含んだウルトラファインバブルを活用する。野菜にウルトラファインバブル水を与えることによって、根っこがより多くの酸素を吸収することができ、より大きく育つのである。
ウルトラファインバブル水で野菜を作ると、茎の部分にある道管と呼ばれる栄養素を運ぶ道が大きくなる。そして成長ホルモンが多く作られ、より大きな野菜に成長する。
野菜にウルトラファインバブルを与える研究を行っている近畿大学の林孝洋教授は、
道管の断面積が小さいと地上部の要求(もっと栄養が欲しい)に答えられない。道管が増えることによって、野菜の収穫量の増加につながるだろう
と語っている。
高知県では、メロンをウルトラファインバブルで育てるという実証実験を行った結果、メロンの糖度が1度上昇するという結果が出たという。