[ガイアの夜明け] ( U-motion / アグリドローン )誰が支える?食卓の”真実” – 2017年12月19日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年12月19日放送のガイアの夜明けは「誰が支える?食卓の”真実”」と題して日本の農業を変えるスマート農業。畜産農家と野菜農家の事例を紹介します。

 

日本の農業就業人口は、ついに200万人を割り込んだ。25年前から6割も減少…。大半を占める高齢者層の大量離農が進み、一方で、それを補うはずの若年層への世代交代もうまく行っていない。

そこに登場したのが、ITを駆使し効率を追求した「スマート農業」だ。その国内市場規模は、2016年度に100億円を超え、2023年度には330億円に達するとの予測も。

若者に敬遠されていた農業が今、稼げる、カッコいい、楽しい農業に変貌を遂げようとしている。新たに始まった”食材づくり革命”を追う。

 

誰が支える?食卓の”真実”

 

後継者不足で和牛の価格が高騰

 

東京練馬区にある人気の焼肉店「牛蔵」。予約は1ヶ月は当たり前だという。人気の秘密はズバリその安さ。黒毛和牛が格安で提供されている。しかし昨年はじめて値上げをしたのだという。

その原因は、和牛の卸値価格の上昇。ここ5年で6割以上も値上がりしているである。

和牛の卸値価格推移
和牛の卸値価格推移

 

その影響は食卓にも及んでおり、手が出しづらくなっている。

 

国内屈指の和牛の産地、鹿児島県の仔牛のセリでも2014年、1頭あたりの平均落札価格が約57万円だったところ、2017年は平均100万を超える価格となっている。

こうした急激な値上がりの背景にあるのが、畜産農家の高齢化である。畜産農家は廃業が相次ぎ、年々減少の一途を辿っている。仔牛の出荷量が減り、慢性的な品薄状態が続いているのである。

 

畜産農家の過酷な労働とそれを解決しようとするU-motion

 

畜産農家の小北農業。親牛に種付けをして仔牛を出荷する繁殖農家を営んでいる。45頭の牛の世話は3年前に引き継いだ息子さんが行っている。

中でも1番大変なのが仔牛の出産である。牛の繁殖は人間と同じ10ヶ月10日。種付けをした日から計算して出産日を予測する。しかし、早まったり遅くなったりすることもしばしばあり、常に気が抜けないのである。

 

その解決に動き出した企業がある。それがデザミスという企業。2016年創業で従業員は28名ほどのベンチャー企業である。社長は清家浩二さん(49歳)。清家社長はパナソニックグループに努めており、農業用扇風機の営業を担当していた。その時、畜産農家の過酷な現場を目の当たりし、それを解決したいと起業したのである。

 

デザミスが開発したのは、牛の首につけるU-motionというデバイスである。これをつけることによって牛の動きを捉える事ができる。首の位置で立っているのか寝ているのか、また餌場にいったかどうかなどを感知し、データとして飛ばすことができるのである。

さらに、発情のタイミングを知らせる機能までついている。牛は発情すると独特の動きをするため、その動きを感知しているのである。

umotion
umotion

 

 

こうした感知機能があることによって、若手の就農を促す役割も果たしている。若手の畜産農家はどうしても経験不足が否めない。しかしこのU-motionがあることによって、牛の状態を常にデータから読み取ることができるため、経験部分を補ってくれるのである。

 

デザミスの清家社長は、分娩のアラートを開発しようと新たな取り組みを進めていた。データ分析を得意とするNTTテクノクロスとの共同開発である。実際にU-motionで取得したデータと実際に牛舎で見た牛の兆候をひとつずつ確認して、どこに共通性があるのかを確認し、分娩アラートを開発していくというのである。

 

分娩アラートのテストでは無事、仔牛の出産の兆候を捉えることができた。さらにこの精度をあげていくことで、畜産農家の負担を軽減させていくことを目指している。

 

 

 

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大豆農家の害虫対策にドローン

 

佐賀県佐賀市のとある農家では、東京ドーム2個分の面積の中で大豆を生産している。目下悩みのタネは害虫である。大豆は害虫に弱く、場合によっては畑が全滅してしまうこともあるのだという。

広い畑の葉っぱを全て見回り、害虫を駆除するというのは到底できるレベルではないため、大豆栽培では農薬を散布し害虫対策を行うのが一般的となっている。

 

この害虫対策に一役買って出ようというのが、アグリドローンである。解析用のカメラが搭載されており4Kの撮影ができるようになっている。

アグリドローン
アグリドローン

4Kカメラで撮影した画像を解析し、どこに害虫がついているかを判別。そこにだけ農薬を散布するという形での栽培を行うことができるのだという。

アグリドローンによって2,000枚以上の画像を撮影し、その画像を解析。虫食いによって色が変わった葉っぱや変形した葉っぱを人工知能が選び出し、どこに農薬を散布すればよいかを判別するのである。

 

このアグリドローンを開発するのは、株式会社オプティム。従業員約150人のIT企業である。代表の菅谷俊二さんは大学在学中の2000年にこの会社を起業し、これまでに数々のアイディアで商品を開発してきた。その特許取得数は100を超える。

いま、目をつけているのが農業でおととしから事業として進出している。

既に製品として導入をすすめているのがスマートグラス。離れた相手と同じ映像を見ながら会話をすることが可能である。ベテラン農家が離れた場所から収穫の対象となる野菜や果実の特定を指示できるため、若手の育成にも役立つという。

さらにアグリクローラーという小型の機械。ハウスの中を移動し360度カメラで野菜の成熟度を確認できる。

 

アグリクローラー
アグリクローラー

 

これによって農家の人手不足の解消が期待されている。

 

 

農業に導入された最先端の技術。それは農家の作業負担を大幅に減らし、また農業の経験が少ない人のサポートにも貢献しました。そして安心安全にこだわった作物は消費者に嬉しいのはもちろん、付加価値をつけて販売できるため農家の収入アップにもつながる。

生まれ変わった日本の農業。さらなる広がりに期待したい。