[ガイアの夜明け] ( 外国人技能実習制度 )”絶望職場”を今こそ変える! – 2017年12月12日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年12月12日放送のガイアの夜明けは「”絶望職場”を今こそ変える!」と題して2017年8月に放送した外国人技能実習制度のその後を放送します。

 

国内の製造業や農業、漁業といったさまざま現場を支える「外国人技能実習生」。およそ23万人が日本で働いているが、違法な長時間労働や、法律で定められた最低賃金を大幅に下回る条件で雇用されているケースが前回、8月1日に放送された「追跡!絶望職場の担い手たち」で明らかになった。

なぜそうした違法行為に走る日本の企業を止められないのか、どうして企業はそうした違法行為を重ねてしまうのか。現場をさらに掘り下げていくと、そこには私たち消費者も関わる、根深い”問題”が横たわっていた…。

もはや不可欠な存在となっている外国人労働者。前作に引き続き、外国人技能実習制度のさらなる”闇”の実態に迫り、そのあり方を考える。

 

※外国人技能実習制度については2017年8月にガイアの夜明けで一度取り上げている内容となります。

 

 

 

“絶望職場”を今こそ変える!

 

日本人がやりたがらない仕事の大切な担い手:外国人技能実習制度による外国人留学生

外国人技能実習制度
外国人技能実習制度

埼玉県さいたま市にある三愛病院。年間4,000人以上の急患を受け入れる地域医療の大切な拠点である。しかし、病床の状況によっては、急患をお断りしたり、他の病院に行ってもらうということが起こっていた。そこで、急ピッチで増床の工事が進められていた。

その工事の作業の現場には、ベトナム人の若者がいた。下請け会社「大黒屋」で内装工事を担当しているという。

実はいま、下請け工事には外国人が欠かせないという。

外国人のヘルメットには「技能実習生」の文字が書かれている。彼らは外国人技能実習制度で日本にやってきている。この外国人技能実習制度では最長5年間、日本で技術を学びながら働くことが認められている。その数およそ23万人で、日本人がやりたがらない仕事の大切な担い手となっている。暮らしや社会を支える大きな存在である。

ベトナムの平均月給は2万7,000円ほど。外国人技能実習制度であれば、月給は約14万と5倍近く稼ぐことができる(※大黒屋の場合)。実習生にとっても魅力の職場なのである。

 

ベトナム国内でも、技能実習生として働きたい若者が多く、ベトナム国内の訓練施設では、多くの若者が訓練に励んでいる。

しかしながら、この外国人技能実習制度には、大きな問題がはらんでいるのである。この制度を利用して、不当に外国人を働かせようとする日本企業が後を絶たないと言う。

 

 

送り出し機関と監理団体の関係性で技能実習生の手数料が高騰

 

日本で働きたいと考えている外国人は現地の送り出し機関と呼ばれる機関で日本語や基本的な技術を学ぶ。そして日本企業との橋渡しを行っているのが、監理団体と呼ばれる組織である。この組織は国内に約2,000あり、不当な労働が行われていないかなどを監理することを目的としている。しかし、この監理団体にもある問題を抱えているのだという。

 

圏友協同組合はそうした監理団体のひとつである。建設業における外国人技能実習制度を専門としているこの圏友協同組合は現在約400人の外国人技能実習生をサポートしている。

この監理団体は、実習生の労働環境を見回るのが主な仕事で、実習生ひとりあたり月2万5,000円を企業から徴収し活動を行っている。

 

企業は監理団体に外国人技能実習生の給与を報告することになっているが、その提示した金額と実際に払われている金額が違うケースもあるのだという。その為、圏友協同組合 は外国人技能実習生の給与明細と実際に振り込まれた金額を直接確認している。

 

静岡の建設会社から至急来て欲しいと連絡があり、訪れたところ、1年働いた外国人技能実習生がいなくなってしまったのである。実はこうした事態が全国で相次いでいるのだという。2016年には年間5,000人もの外国人技能実習生が失踪した。

 

なぜいなくなるのか…

 

外国人技能実習生は現地の送り出し機関からやってくる。そこにいくら払ったのか…外国人技能実習生は、まず送り出し機関に授業料などを含めて支払い、この送り出し機関を仲介してくれた業者にも仲介料を支払う。これがおよそ8,000ドル(約90万円)となる。ベトナムの場合、平均年収の3倍近くなる。

ベトナムの場合、巨額の借金を背負って日本にやってくるのである。外国人技能実習生は原則自分で仕事を変えることができない。したがって、より早く借金が返せる働き口が見つかれば、そちらに勝手にいってしまうということが多発しているのだという。

 

なぜ、日本に来るために多額の費用がかかるのか…。

外国の送り出し機関は、日本での働き口を見つけてもらうために、日本の監理団体に過剰な接待を行うのだという。それによって、送り出し機関における手数料が高くなっているのだという。

さらに接待以外にも、外国へ行く際の渡航費やホテル代の要求や実習生を採用したら謝礼金を送り出し機関に払えと要求してくる監理団体もあるのだという。

 

圏友協同組合の渡邊さんは、ベトナムの送り出し機関を訪れ、外国人技能実習生の手数料を減らす交渉に訪れていた。

我々圏友協同組合 は過剰な接待や渡航費を要求したことはない。その分を考えれば手数料は減らせるはずである。外国人技能実習生が過剰な借金をして日本に来る状況をなんとか減らしたい

と迫り、500ドルの手数料の引き下げに成功した。

 

 

岐阜の孫請縫製会社で時給400円で働く中国人技能実習生

 

岐阜一般労働組合のケンカイさんはトラブルを抱えた外国人技能実習生を保護する活動を行っている。前回のガイアの夜明けの放送では、大垣市内の縫製工場で働く5人の中国人実習生が助けを求めに来た状況を放送した。

 

7ヶ月で休みはたった1日、1日15時間の労働、という過剰な労働環境で働かされていた。結果、残業は月間197時間で時給は最低時給を大きく下回る400円という状況だった。それだけ働いても手取りは14万円しかならなかった。

 

 

 

さらに、彼女たちが働いた会社は支払い能力がないと言い、倒産するしかないといって支払うことができないのだという。

 

すると数日後、縫製工場からミシンを運び出すとともに、上記の5人以外の外国人技能実習生を別の場所に引越しさせ始めたのである。その場所は、岐阜県から大きく離れ、静岡県浜松市に移動させられていた。

結局、場所を移動しても同じミシンで同じメーカーの縫製作業をさせられていた。そこでは半月働いて給料は約6万9,000円、そこから家賃などの手数料約3万7,000円が引かれ、手取りは3万2,000円ほどにしかならなかった。

しかも、潰れたはずの岐阜の縫製会社宛の3日前の発注書が見つかった。岐阜の縫製会社は潰れたと話していたにも関わらずである。

その件についてケンカイさんが、縫製会社の社長と話をしていると、そこに警察が…結局14人の中国人技能実習生は警察

によって保護され、ケンカイさんの団体と監理団体が保護する形となった。

 

 

さらに、岐阜県の縫製工場は、施設が新しくなっていたのである。登記簿を確認したところ、と倒産したと言っていたときから3ヶ月後の2017年9月の時点では、まだ会社が存在していたのである。そして、縫製会社の社長は、未払賃金の問題が浮上した直後に新たに別の会社を設立していたのである。旧会社も新会社も読み方は全く同じだが、アルファベット表記、カタカナ表記となっていた。

※こちらの企業は5chによって特定されています。

(参考)

 

外国人技能実習生の問題に詳しい弁護士によれば、このように、外国人技能実習生から未払賃金を要求されて会社をわざと倒産させて、未払賃金の支払いを免れようとするケースは多いのだという。

 

実はケンカイさん、この縫製会社の担当弁護士からある申請をするようにすすめられていた。それが外国人技能実習生の未払賃金を国が労災保険を使って立て替えてくれる制度である。しかし、この制度で受け取ることができるのは、直近6ヶ月の賃金の8割が限度である。

しかし、現状の法律上、倒産してしまった会社から未払賃金を支払ってもらうこともできず、国の制度としては直近6ヶ月の8割しか払ってもらえないのである。ここには法律の大きな矛盾がひそんでいるのである。

 

発注元のアパレル会社への要望

 

岐阜の縫製会社は、日本のとあるブランドの孫請会社で、中国からの外国人技能実習生はその服を縫製していた。彼女たちはもうすぐビザが切れてしまうということもあり、最後に発注元のアパレル会社の社長宛に手紙を書き、

・未払賃金600万円がもらえないままであること、
・美しいデザインの洋服を作ることができたということについては喜ばしいこと、
・この実状を知ってほしいこと

の3点が綴られていた。

そして最後に自分たちのような実習生を出さないということを約束して欲しい、と書かれていた。これを大本の発注元のアパレル会社に提出しに行った。この要請文は受け取ってもらえたものの、日本の法律上、直接取引がない場合、法的な責任は問われない。

 

 

ガイアの夜明けが彼女たちの想いをどう受け止めたのか取材を申し込むと…

・法的義務がないことに取材は受けられない

と回答があったという。

 


メイドインジャパンを謳う日本企業の背景には彼女たちのような外国人技能実習生が不当に労働させられる状況があるのである。

 

 

高品質に安全性、それがメイドインジャパンのウリだった。良いものをより安く、そんな消費者のニーズは外国人の実習生を過酷な環境で働かせていることが改めて明らかとなった。この歪んだ日本の状況を変えるには何が必要か、今こそ立ち止まって考えるときではないでしょうか?

 

 

 

※なお、ネットではこの話が話題となり、この発注元の企業、ブランドが特定されています。