こんにちは。ひとりで.comです。
2018年1月7日放送の知られざるガリバー〜消費者の知らないエクセレントカンパニー〜は「DMG森精機」の特集。
売上高4,150億!世界シェアトップを誇る工作機械メーカー「DMG森精機株式会社」。常に独創的な製品を生み出していくという企業の裏側と驚きの人材育成に迫る!
工作機械の世界トップ企業:DMG森精機株式会社
工作機械で世界シェアトップのDMG森精機株式会社。その売上高はなんと4,150億円。拠点数は世界46カ国、157拠点、従業員は約12,000人とまさにガリバー企業である。
そんなDMG森精機株式会社は年間で約11,000台もの工作機械を製造している。これだけ多くの工作機械を作っているにも関わらず、ひとつとして同じものがないというから驚きである。
これはいったいどういうことなのだろうか?今回はその秘密に迫る。
【目次】
ガリバー企業であり続ける理由①:要望をかなえる提案
石川県にある株式会社イナバエンジニア。航空機の部品などを製造している企業だが、ある悩みがあった。それは、人手不足により機械が稼働しない時間(機会損失)が生じていたのである。
その悩みを解決すべく、DMG森精機株式会社の営業はある提案を行った。
それが、パレットチェンジャーをつけることによる無人化である。
パレットチェンジャーとは、機械に自動的に材料をセットしてくれるための工作機械である。事前に準備しておくことで、これまで人が担っていた材料のセッティングを自動化できるため、人の手を介さずに製品の製造が可能となるのである。
このように、顧客の悩みや課題に対して、解決するための提案ができることがDMG森精機の強みである。
そして、顧客の要望に併せて、工作機械をカスタマイズする必要があるため、DMG森精機の工作機械が同じものがないと言われる所以なのである。
続いて、岡山県で産業用ロボットの部品製造を手がける株式会社中原製作所。この企業もDMG森精機の提案によって悩みを解決できた企業のひとつである。この企業の悩みが、これまで2つの機械で行っていた作業をひとつの機械で行いたい、という要望である。
先程の株式会社イナバエンジニア同様、人手不足が原因で生じている悩みであった。
そこで、DMG森精機が提案したのが5軸加工機という工作機械である。
これまでこのメーカーが使用していた機械では、加工する面の数だけ工作機械と技術者が必要だった。しかし、DMG森精機の5軸加工機では、原料を載せるテーブルと、ドリルのついた主軸が自由に回転できる仕組みになっているため、あらゆる角度から加工が可能となっている。
したがって、この機械を使うことで1つの機械、1人の技術者で加工することができるようになるのである。
ガリバー企業であり続ける理由②:重要なのは人
2018年、創業70週年を迎えるDMG森精機。そのトップが3代目社長の森雅彦さんである。DMG森精機では、どれだけクオリティー・オブ・ライフを高めることができるか…を目指して工作機械を作っているため、人の質が圧倒的に重要なのだという。
工作機械の価格は1台数百万円から1億円以上するものまである。それだけ企業にとっても大きな投資となる製品なのである。したがって、購入する側の企業も真剣そのものでミスが許されない。
だからこそ、顧客すら気づかないポイントを提案できるような人の存在が重要なのである。
DMG森精機の始まりは、まだ戦後の混乱が残る昭和23年。当初は繊維機械メーカーとして事業を行っていた。創業から10年、この頃から工作機械の製造に参入し始めた。そして1970年代、自動で加工を行う数値制御旋盤が出回り始めると大きな転機を迎えた。
自動で加工を行う数値制御旋盤を組み込んだ工作機械は、プログラミングの技術が必要だった。他社が、顧客を集めて研修を行うスタイルを取ったのに対して、DMG森精機は企業に社員を送り込み、その現場でプログラミングのやり方を行なうスタイルをとった。それが顧客からも評判となり一気にシェア拡大ができたのだという。
ガリバー企業であり続ける理由③:顧客を満足させる対応力
兵庫県にある株式会社秋谷鉄工所。産業用ロボットの部品などを製造するメーカーである。この企業では、機械がしっかり稼働していると認識したが、実は60%ほどしか機械が稼働していないという事実が判明した。そんな悩みを解決したのもDMG森精機である。
DMG森精機が開発したのが、工作機械ではなく、メッセンジャーというアプリケーションだった。スマホから確認することができるそのアプリケーションでは、工作機械の稼働状況がひとめでわかるようなプログラムがされていた。
工作機械は、家電などと同様に何らかの異常を検知すると停止してしまう。その停止状況はこれまで機械を直接見ないとわからない状況だったが、このアプリケーションを使うことによって、瞬時にわかるようになったという。
これによって、工作機械の稼働率は60%から85%にまで飛躍的にアップしたのである。
ガリバー企業であり続ける理由④:徹底した人材育成
2017年にできた、DMG森精機の先端技術研究センター。ここは企業内大学院で現在6名の研究生が在籍している。このセンターのセンター長は東京大学 名誉教授 松島克守さんがつとめている。
ここでは、工作機械に関わらないAIや機械学習、IoTといったありとあらゆる分野の研究が進められている。
これは、例えば機械学習がDMG森精機の工作機械に導入されるようになると、機械の故障を過去のデータから予測し未然に防ぐことができるようになるかもしれない。
こうして、DMG森精機では人材育成に力をいれているのである。