こんにちは。ひとりで.comです。
2018年3月6日放送のガイアの夜明けは「ニッポン転換のとき〜住宅編『中古』に価値がある!〜“新築信仰”に挑む〜」と題して
都会へ出て来た人たちが抱える、「実家の相続問題」。親が亡くなったり、施設に入ったりして実家が「空き家」となり、それを相続した人が頭を抱えているのだ。
駅から遠い、築年数が古い、人口が少ない地方にある…。誰も住まなくなった”古巣”を、売却したくてもできないケースが多いという。
日本全国の「空き家」はいま、およそ800万戸。それが15年後には、2100万戸に…。3戸に1戸が「空き家」の時代が、もう目の前に迫っている。一方で、今も続く、新築の戸建てやマンション建設。戦後から根強く残る「新築信仰」はいま、転換を迫られている。
問題解決の決め手がないなか、ある企業が新たなビジネスで、「空き家問題」の解消へ向けて動き出していた。それは「中古」物件に価値を生み出す、という戦略。果たして、その挑戦の行方は…?
『中古』に価値がある! 〜“新築信仰”への挑戦
増え続ける空き家物件
茨城県のつくばみらい市、ここに古びた一軒家がある。ここに住んでいた末永さんは小さい頃ここに住んでいたが8年前に親がなくなり、空き家となっており、手入れができず維持できなくなっているのだという。
長男としてこの家を相続したものの日々の暮らしに追われ手入れできなくなっているのだという。いまや痛みは深刻な状況になっている。
いまこうした空き家は全国に800万戸以上あるのだという。中にはゴミ屋敷となっている空き家もあるのだという。これからこうした空き家はどんどん増え続け、15年後には3戸に1戸が空き家になるとも言われている。
一方、今でも全国に建つ真新しい住宅、新築信仰に隠れた深刻な問題があるのである。
難物件を中心に年間4,000軒もの物件を販売するカチタス
千葉県柏市に住む上述の末永さんは、なんとか茨城県の物件を売却できないかと考えていた。周囲からも建物を解体しないと値がつかないと言われており、解体費も考えるとなかなか売りづらいのではと考えていた。
解体にかかる費用はおよそ200万円。さらに建物は最寄りの守谷駅から徒歩54分と遠い。そこで1,200社もの不動産会社に買い取りをインターネットで依頼した。
その中で唯一返事をくれたのが株式会社カチタスという会社だった。
末永さんの実家は築38年、通常建物の価値は築20年でゼロになるのだというが、株式会社カチタスはしっかりと査定を行ってくれた。雨漏りや屋根裏の鳥の巣、床下のシロアリ被害などを調査した結果、株式会社カチタスは買い取りの方向で考えると判断したのである。
末永さんとしては空き家が売れ、200万の解体費も浮くとあってほっとしていた。
しかし株式会社カチタスはなぜ買い取りの判断をしたのだろうか。実はこの家の最寄駅の守谷駅は、駅の近くに駐車場がたくさん存在する。すなわち、駅まで車で来て、電車で通勤する…ということを行っている人が多いのではないかと判断したのである。
さらに、末永さんの物件から車で10分圏内にドラッグストアやスーパー、衣料品店など生活に必要なものが揃っていたのである。
この物件のターゲットは、年収300万ほどの子どもを持つファミリー層だという。こどもが成人した際はこどもも車にのることが想定されるため、2台〜3台の駐車場が設置できるスペースが必要だと考えていた。末永さん宅は庭が広く設けられているため、その庭を駐車場にすることによってそれが実現できるのではないかと株式会社カチタスは考えたのである。
カチタスは全国に110店舗を展開しており、低価格を売りに年間およそ4,000軒の中古住宅を販売している(業界1位)。扱うのは条件の悪い物件ばかりである。
末永さんから買い取った築38年の物件のリフォームに取り掛かる株式会社カチタス。さまざまな方法でコストカットし、リフォーム費用を抑える仕掛けがそこにはあった。
例えば、壁や天井の木材。以前使われていたものを剥がして別物に交換しようとすると処分代が40万ほどかかってしまう。しかし、既にある壁や天井に板を貼り付けることで処分代を浮かすことができるのである。
さらに、外壁についても、状態を確認した上で、既にある外壁から劣化を防ぐペンキを塗ることで、ここでもコスト削減を見込めるのである。
完成した物件は新築に見劣りしない内容で価格は1,198万円となった。ローンは月3万円台から可能なのだという。駅から徒歩54分の中古物件にも関わらず、既に6件の問い合わせが入っているのだという。
空き家の廃材を再活用するリビルディングセンターJAPAN
長野県諏訪市の築170年の木造家屋。駅前の再開発により、解体の日が迫っていた。そこに現れたのが東野唯史さん。解体前の日に訪れ、床の間の板を剥がしていた。その板は推定樹齢200年から300年のケヤキの一枚板である。
さらに、柱に使われていたのが黒柿という柿の木で樹齢は数百年で黒い模様が出るのは1万本に1本と言われる希少性なのだという。
空き家から運び出された木材を事務所に持ち込んでいた。持ち込んだ木材を適当な大きさに切り、値段を付けていた。
例えば、クロマツの一枚板(推定樹齢250年)は価格18,000円という価格をつけていた。
東野唯史さんはリビルディングセンターJAPAN(通称:リビセン)の代表をつとめている。ここでは、解体前の空き家などの古材を回収し、それを販売するというビジネスを展開している。さらに、古材を改修するだけでなく、販売価格の5%を持ち主にバックするという仕組みをとっている。
こうすることによって、広く古材を集めることができるのだという。
空き家を解体する際の木材などは、基本的には産業廃棄物として処理されてしまう。しかし、価値のある古材も産業廃棄物として廃棄されてしまうため、これを回収して販売することで、風情ある日本の家屋に再度価値を感じてもらおうというのである。
結婚して家庭を持ち、新しい家を建てる。新築の家は幸せな人生の象徴だった。しかしいま、どんな家が自分にとって価値があるのか、その考え方はさまざまになってきている。
どんどん建てられる新築ではなく、古くても上質な素材を使った家に価値を見出す、そうした発想が今後、日本の住宅事情を変えるきっかけになるのかもしれない。