こんにちは。ひとりで.comです。
2018年3月13日放送のガイアの夜明けは「シリーズ ニッポン転換のとき 追跡!食品ロスとの闘い」と題してもったいないという言葉とは裏腹にはびこるフードロス問題に立ち向かう2つの企業を特集します。
日本で排出される食品廃棄物は年間2,775万トン。
このうち、食べられるのに捨てられている『食品ロス』は621万トンにのぼる。これは1300万人の東京都民が、1年間に食べる量に匹敵する。
この「捨てられる食べ物」を「ビジネス」で解決しようと、動き出した人たちがいる。一方、流通業界の慣習で、まだ食べられる食品が「廃棄」される実態も独自取材。
食品ロスが常態化させない仕組み作りや、意識改革に動き出した企業の挑戦を追う。
追跡!食品ロスとの闘い
作り過ぎの食品ロスのマッチングサイト:TABETE
東京六本木にあるVeganic to goという有機野菜を使ったレストラン。2017年12月のある日、急な天候不良によって40名分のケータリングが中止になってしまった。そこでこのレストランでは余った食材でお弁当を作って販売しようというのである。
作ったお弁当はTABETEというフードシェアサービスのサイトにアップする。実はこのサイト、飲食店などで作りすぎた食事をネットで売るというマッチングサイトなのである。
飲食店側が作りすぎた料理や悪天候などで急遽キャンセルになった場合、余った食材で作った料理をTABETEのサイトにアップ。利用者はそのサイトを見て欲しい料理を注文しお店に取りに行くという仕組みである。
お店の登録料や利用者の使用料はかからない仕組みとなっているが、TABETEでは、販売価格の35%を手数料としてもらう仕組みとなっている。
TABETEを運営するのがコークッキングという企業で社員は4人で飲食関係の仕事を経験したメンバーばかりが集まっている。
このコークッキングの社長は川越一磨さん(26歳)。学生時代のアルバイト時から疑問に感じていたことがあった。飲食店でアルバイトをしていたとき、食品ロスに対して疑問を持っていたが、捨てる以外の方法がなかったのである。
2014年に大手外食チェーンに就職したが、そこでも食品ロスの現場を目の当たりにしていた。大手外食チェーンは1年で退職し、新たなビジネスをはじめるために2015年にコークッキングを創業した。2017年からスタートしたTABETEのサイトは現在利用者が1,000人、登録店舗数は20軒となっており、試験運用を進めている。
思った以上に店舗数が伸びない理由のひとつが、手数料の35%である。店舗側からすれば、商品の35%はかなり高いハードルに感じているのだという。さらに、仕組みを知ってしまえば、自分たちでもできるのではないかと考え、二の足を踏む店舗が多いのだという。
東京渋谷にあるダイニングバー:VANDALISMはそんな中で、TABETEのサービスを効果的に活用している。お店では自慢のハンバーガーを提供しているが、ひき肉が余ったり、納品してもらっているオニオンリングも約3割がわれてしまったりしており、商品として出すことができないのだという。こうした食材を使ってTABETEに半額ほどの料金で提供しているのである。
お店としても、食品ロスを減らすこともでき、TABETEのサイトを通してお店を知ってもらえるということもあり積極的に活用しているのである。
こうした店舗の活用法を営業に活かすことによって、急速に店舗数が増え始め、2ヶ月で25店舗から60店舗に増えたのだという。
食品業界にある3分の1ルールとは?
出典:日経Bizアカデミー
神奈川県相模原市にある日本フードエコロジーセンター。この工場には毎日大量の食料廃棄物が運ばれてくる。スーパーやデパートから回収してきた食料品を豚の飼料に再利用している。中には期限前に捨てられてしまう食料も数多く存在するのだという。
その背景には、日本独自の不可解なルールの存在があった。
これに対し、食品メーカーとして声を上げる企業が出てきている。その企業のひとつが、ブラウンシュガーファーストという企業である。有機栽培で作られた食品を手がける企業で、社長の荻野みどりさんは
食品を仕事にしている人が食料廃棄について声を上げていない
ということに疑問を感じているのだという。
食品に記載されている賞味期限に関する奇妙な慣習が存在する。
皆さんは、食品には3分の1ルールというものがあるのをご存知でしょうか?
例えば賞味期限が6ヶ月の食品があったとします。
6ヶ月の3分の1、すなわち2ヶ月がその食品の納品期限となる。メーカーは製造から2ヶ月の間に小売店に納品しなければならない。この納品期限を過ぎた場合、その食品は返品または廃棄となる。
そして、次の3分1は販売期限となる。すなわち小売店などから消費者に販売する期限となる。ここでも期限を過ぎてしまった食品は廃棄されてしまう。まだ賞味期限まで2ヶ月あるにもかかわらずである。
この3分の1ルールがあるため、食品ロスは年間1,200億円にものぼってしまうのだという。
※3分の1ルールについてはがっちりマンデー!!でも特集されています。
業界の不可解な慣習に疑問を呈す荻野みどりさん
ブラウンシュガーファーストの社長、荻野みどりさんはもともとアパレル企業に勤めていた。2年前に離婚し、娘と暮らしている。起業したのは出産後で、母乳を娘に与えている時期に、自分が食べたものがダイレクトに娘の体調に影響をあたえることに気づき、より良い食品に興味が湧いたのだという。そして2011年にブラウンシュガーファーストを創業しココナッツオイルなどを手がけてきた。
しかし、賞味期限がまだ残っているのに店頭から商品が撤去されるということに対して疑問を持っていたのだという。
なぜ3分の1ルールという不可解な慣習が作られたのか…専門家によると、
お客様にできるだけ新しいものを提供しようとするために、みんなで均等にリスクを分け合うという考え方から3分の1ルールというものができ、1990年代にとある大手小売店がルールとして設定し、他の小売店も追随したとも言われている
のだという。
問題は3分の1ルールだけではない。小売店から依頼されて作った商品も結局注文がつかないと言われ、開発した商品はすべて廃棄になってしまったのだという。小売店からの要求にメーカーは受けざるを得ない。苦労して製造しても廃棄費用はメーカー負担となってしまう、そんな実状があるのである。
こうした背景には、小売業界が自由にメーカーを選択できる強い立場にある、という業界構造が起因しているとも言われる。
食べ物を捨てない日本計画
こうした実状に対してブラウンシュガーファースト の社長、荻野みどりさんは
食べ物を捨てない日本計画
というプロジェクトを発足した。3分の1ルールなどで流通に乗らなくなった食品を販売する活動をスタートさせたのである。
この食べ物を捨てない日本計画では、ブラウンシュガーファースト のように、まだ食べられるのに廃棄になってしまった商品を買い取り、シェアオフィスや企業の社食などに販売していこうという活動を行おうというのである。
捨てられるしかなかった商品が再び、消費者の手元に提供される…食品業界のルールをくぐり抜け新たな一歩がスタートした。
もったいないという日本語が世界で知られる一方で、実は日本は食品ロス大国という不名誉な事実があった。
大きな影響力を持つ、食品流通業界に対しては我々消費者も日々の買い物などの現場で少しずつ動きを変えていくことが必要かもしれません。
もったいないという言葉の意味をいま一度見つめ直したいものです。