[未来世紀ジパング]( コストコ )なぜ買い過ぎてしまうのか…ノーベル賞「行動経済学」の魔法! – 2018年4月25日

未来世紀ジパング
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こんにちは。ひとりで.comです。

2018年4月25日放送の未来世紀ジパングは「なぜ買い過ぎてしまうのか…ノーベル賞「行動経済学」の魔法!」と題して行動経済学の原理を特集する。

 

人気の会員制スーパー「コストコ」を徹底取材。アメリカ式の大型カートを押しながら「つい、買い過ぎてしまう」一体なぜなのか?隠された仕掛けの数々を紹介する。

そして去年、「行動経済学」の研究でノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授に単独インタビュー。アメリカ消費社会の裏にある、人の心を操る巧妙な仕掛けが明らかに…。

さらに最新の「行動経済学」が、お金をかけずに様々な社会問題も解決していた。イギリスそして「幸福度世界一」の国で行なわれている驚きの動きを追った。

 

 

なぜ買い過ぎてしまうのか…ノーベル賞「行動経済学」の魔法

 

 

つい買ってしまう行動経済学を活用したコストコの売り場

コストコ
コストコ

日本でも人気となっている会員制大型スーパーのコストコホールセール。本社はアメリカで世界で749店舗を展開している。日本には26店舗ある。コストコといえば、特大サイズ。メーカーから直接仕入れている商品も多数あり、おトクな価格となっている。

 

コストコ最大の特徴といえば、会員制である。誰でも入店できるわけではなく、会員となった人と同伴者2名まで入店可能となっている。一般会員は年間4,400円となっており、会員制にすることによってお客さんを引きつける効果がある。

これがサンクコスト効果と呼ばれるもので、会費を支払ったため、元を取ろうと行きたくなってしまうのである。

さらに、入口付近にはダイヤモンドの指輪まで置いてあり販売されている。目につくところには2,800万円もするダイヤモンドの指輪があり、奥に進むにつれて値段が下がっていく。

これは、アンカリング効果と呼ばれるもので、高額商品を先に見ることによって、他が安く感じてしまうのである。

 

さらに食料品コーナーには、多くの試食コーナーが設けられている。ここでは、試食を案内しながら、その商品を使ったレシピを紹介する。そうすることによって具体的な料理のイメージが高まり、食べたく・作りたくなるのである。

また、試食には返報性の原理というものが活用されており、人間は何かの好意を受けるとお返ししなくては…と感じてしまう。これを狙って、商品を買ってしまうのである。

 

そして店内をまわる時に使うカートにも秘密が隠されている。コストコで使われているカートは一般的なスーパーと比較しても非常に大きなものとなっている。このカート、大きな隙間があることによって、空間を埋めたくなってしまうのである。

 

 

 

行動経済学の権威:シカゴ大学のリチャード・セイラー教授

リチャード・セイラー教授
リチャード・セイラー教授

アメリカ、第三の都市シカゴ。そのシカゴ大学の教授であるリチャード・セイラー教授は2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の権威である。実はコストコにはこの行動経済学の理論を応用したしかけが用意されていたのである。

これまでの経済学は、すべての人間が自分をコントロールでき、賢い人間であることが前提となっている。その経済学に人間らしさを取り入れたのが行動経済学なのだという。

 

例えば、ニューヨークの五番街は、高級ブランド店がひしめく通りであるがそんな中にもH&Mやユニクロといったファストファッションブランドも立ち並んでいる。こうした店舗の中には、つい高級店で見慣れた価格よりも非常に安い価格に見えてしまって、かなり好調な売上をあげている店舗も少なくないのだという。

 

アマゾンが提供しているアマゾンプライム。アメリカでは年会費99ドル(1万6,000円)を払うと郵送費が安くなったり、特別なセールに参加することができたりする。加入者は9,000万人にものぼる。

ここにもサンクコスト効果があり、会費を支払っているため、元を取ろうと買ってしまうのである。

 

 

 

無意識を意識させるだけで人の行動が変わるナッジ

 

イギリスは世界の中でも行動経済学の先進国なのだという。イギリスといえば伝統のアフタヌーンティーがある。紅茶に砂糖をたっぷり入れたり、一緒にケーキを食べたり、ビールにフィッシュアンドチップスなど、健康問題が取りだたされている。

このままのペースですすむと2050年には人口の半分が肥満になるとも言われている。

こうした状況のため、国の肥満対策や糖尿病対策にかかる費用は年間焼く7,000億にもなるのだという。

 

リバプールでは、こうした状況を鑑み、行動経済学を応用した活動をすすめている。例えば、スーパーなどで販売されている飲みものには「HIGH SUGAR」というポップを置き、糖分の高い飲み物を選ばないように工夫しているのである。それでいて、お店の売上は落ちなかったというのである。

この取り組みには、シカゴ大学のセイラー教授が関わっていたのである。

人間の行動は、無意識的に行われていることが多い。そうした行動をかえてあげるためには

ナッジ

と呼ばれるちょっとした後押しをすることが効果的なのだという。

 

BIT英国ナッジユニットはこうした行動経済学に基づく実証実験によって社会問題を解決していこうと取り組んでいる組織で2010年に誕生した。

見通しの良い道路に人間の目が書かれたポスターを設置することによって、そこを通る車の平均速度が10キロほど減ったり、商店街のシャッターに子供の絵を描くことによって、軽犯罪や迷惑行為が2割減るなどちょっとした工夫で社会問題の軽減につながっているのである。

 

さらに、タバコのポイ捨てを減らすために設置したのが、

投票できる灰皿

である。とある場所では

トランプは神か悪魔か

といった過激な質問を投げかけ、タバコの吸殻で投票できる仕組みとなっている。こうした奇抜な質問でひきつけ、吸い殻を入れたくなる仕掛けをしているのである。

この投票箱によって、ポイ捨てが46%減ったと言われている。

 

 

 

 

コスタリカの水の都で行われた節水に関する行動経済学

 

中米のコスタリカでは、ナッジをうまく活用して世界から注目を集めている。このコスタリカ、アメリカのシンクタンクの調査で、世界一幸福の国とも言われている。

なぜ、そんなに幸福なのか。

実は、コスタリカは1948年に軍隊を廃止した。70年もの間戦争がない平和な国なのである。そして、手付かずの大自然も多くあるのもポイントである。

このコスタリカで行動経済学の実験が行われていた。

 

コスタリカの水の都と言われるベレンという街では、豊富な湧き水が街の中で9ヶ所から出ていて、他の地域と比較してもおよそ3倍の水が使われている状態だった。市民も水が無限にあると思い込んでいる節があり、水の減少が問題となっていたのである。

コスタリカが支援を依頼したのが世界銀行の行動経済学チームだった。世界銀行の行動経済学チームは、コスタリカ、ベレン地域の住民の水道料金表に一緒にあるステッカーを入れることによって、住民に意識付けを行った。それが、近隣の街と比較した水の使用料を表したステッカーである。これによって、市民は自分たちの状況が理解できるようになり、節水に大きな効果があったのである。

 

 

 

 

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