こんにちは。ひとりで.comです。
2018年6月14日放送のカンブリア宮殿は「思わず住みたくなる!新発想の”終の住み家”」と題してシルバーウッド社長 下河原 忠道さんが登場します。
入居率98%、見学したら住みたくなると圧倒的支持を受けているサービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」。
これまでの高齢者住宅のイメージを覆し、なぜか近所の子供たちが集まり、認知症にも徹底対応する。鉄鋼会社の跡継ぎという異端児が手掛ける高齢者向け住宅の新しい形。
思わず住みたくなる!新発想の”終の住み家”
【目次】
入居率驚異の98%を誇る高齢者向けサービス施設:銀木犀
千葉県浦安市にある銀木犀というサービス付き高齢者向け住宅。現在同じ名前の施設が千葉と東京に9ヶ所ある。浦安の銀木犀は全42室で18㎡から27㎡の大きさである。ヒノキのフローリングにバリアフリーの洗面台とトイレ付きでアパートのような賃貸住宅で、一般的な高齢者向け住宅のような入会金はなく、ゼロ円である。
家賃・共益費・食費・生活支援サービス費を含めて月々20万円ほどから入居することができる。銀木犀の入居率は98%で、全国の高齢者向けサービス住宅のうちでも1・2を争うほどの入居率となっている。
銀木犀の人気の秘密その1:自由だから元気になる!
多くの高齢者施設は部屋まで食事を持ってきてもらうことが一般的だが、銀木犀では配膳は原則自分で行うこととなっている。手が必要ならば入居者同士で助け合う。職員は基本的に見守り役に徹する。
銀木犀の入居ルールは要介護・要支援の認定を受けていること。それでもてなるべく手助けはしないのである。
銀木犀の人気の秘密その2:誰も特別扱いしない
銀木犀の入居者の平均年齢は85歳。誰もが程度の差こそあれ、認知症を抱えている。しかし、銀木犀では施設の入り口は出入り自由となっている。一般的な高齢者向け施設では、入り口は締め切っていることが多いが、銀木犀では迷子札をつけることによってそれを回避しているのである。
銀木犀の人気の秘密その3:地域住民との交流
銀木犀には地域の人が自由に出入りできるスペースが設けられている。さらに、銀木犀食堂が開かれており、地域の住民が出入りし、入居者と自由に交流できるようになっている。
シルバーウッドの下河原さんがこだわる銀木犀における看取り
銀木犀を運営するシルバーウッド社長 下河原 忠道さんは、今でこそ、高齢者住宅を経営しているが、実は高齢者住宅とは無縁だった。
1971年に、鉄鋼会社を経営する両親のもとに生まれた。バブル崩壊後、鉄鋼の業績も悪くなり、打開の道を探るために20代後半で渡米した。そこで学んだ技術をもとに、2000年に建設会社であるシルバーウッドを設立した。
2004年に薄いスチールパネルと使ったスチールパネル工法で特許を取り、コンビニやファミレスなどの建築を手がけ、2011年、高齢者住宅「銀木犀」の運営を開始した。
そしてひとりの入居者との出会いがいまの下河原さんを作ってくれたのだという。
銀木犀をオープンして程なくしてやってきた白井友子さん(仮名)。白井友子さんは乳がんの末期で余命宣告を受けていた。銀木犀をひと目見て気に入った白井さんは
わたし、ここで死にます
と言ったという。さらに
病院は本来、元気になる場所で人が死ぬ場所ではない。自分は、自分の家のような自然体でいられる場所で最期を迎えたい。だからここに来たのよ
と言ったのだ。
白井友子さんは元看護師で、本人が望まない延命治療を行っている病院が嫌だったのである。
白井友子さんは延命治療などは行わなかったため、次第に容態が悪化し、自分では起き上がれなくなっていった。そして、充分にご飯も食べられなくなってしまった。
下河原さんは心配になり、少しでも食事を食べてもらおうと、流動食を口元に持っていくが、白井友子さんはそれを拒否。そして…
しつこい
とひと言放った。
その言葉に下河原さんはハッとした。自分が良かれと思ってやっていたことが、実は当人にとってはありがた迷惑なことだったのだと…。
そして、入居から3ヶ月、白井友子さんは静かに息を引き取った。
これ以来、銀木犀では他の施設が敬遠しがちな「看取り」に力を入れている。銀木犀の看取り率は76%。他のサービス付き高齢者向け住宅の平均が17%だというからその率は非常に高い。
認知症の理解を進めるためのVR認知症体験会
コンビニ最大手のセブンイレブンの本社に下河原さんが来ていた。今日行うのは、セブンイレブンの人事や社員教育に携わる約50人に対するVR認知症体験会である。
シルバーウッドが独自に製作した認知症のVR動画を使って、認知症の人たちの体験をして理解を深めてもらおうと言うのである。
例えば、ちょっとした高低差でもビルの屋上から飛び降りるような感覚を持ってしまったり、自分がコンビニなどで何を手にしているのか認識できなかったりといったリアルな認知症の症状を、実際の認知症の人たちの経験から独自のVR動画を作成し、さまざまな人に体験してもらう。
認知症の理解は、家族や医療に関わる人たちだけでなく、地域住民の理解もすすめることが重要だと下河原さんは考えていたのである。