こんにちは。ひとりで.comです。
2017年3月30日放送のカンブリア宮殿は「心に寄り添って営業中!小さな”感動食堂”SP」と題して未来食堂 店主 小林 せかい氏、こども食堂 店主 近藤 博子氏が登場します。
※未来食堂に関しては、2017年2月28日のガイアの夜明けでも紹介されております。そちらの記事をご覧になりたい方は以下も参考にしてください。
小さな感動食堂スペシャル
【目次】
誰もが受け入れられて、誰もがふさわしい場所:未来食堂
東京千代田区の神保町。外食激戦区のこの街のとあるビルの地下に気になるお店がある。その店の名前は「未来食堂」。
この未来食堂は様々な面で”型破り”である。
型破り食堂:その① ただめし券
未来食堂の入り口には、”ただめし券”という券が貼り付けてある。この”ただめし券”を使うと誰でもただで料理を食べることができる。取材の間にも何人もの人がこのただめし券を使って、無料でご飯を食べていた。
型破り食堂:その② 日替わりメニュー1品だけ
メニューがひとつしかないので、店の外から人が見えたら料理の準備ができ、席に座った瞬間に料理を提供することができる。これによって、ランチタイムでもなんと7回転することがあるという。高い回転率によって、売上を確保することができる。また1品のみだと、メニューが多いよりも食材のロスが少なくて済む。
型破り食堂:その③ まかない
このお店では”まかない”という制度があり、お客さんがお店の仕事を50分間手伝うと、”ただめし券”をもらうことができる。この券は自分で使っても良いし、困っている誰かにプレゼントすることもできる。
型破り食堂:その④ 客がメニューを決める
週末になると、店主の小林さんは、お客さんに来週食べたいもののアンケートを取る。それによって次週のメニューを決めているのである。
いま困っている人を受け入れたい…それが未来食堂の原点なのである。
店主の小林さんは高校3年の時、進路で悩み、2ヶ月間神戸から東京へ家出をした。見知らぬ土地でアルバイトをして暮らす日々。誰ともしゃべらず暮らしていたある日、アルバイト先で、職場の人からお弁当を差し出され、一緒に食べたことで、心があたたたくなったという。
横に誰かがいてくれること、それが自分にとって必要なことだとその時気づいた。自分と同じように今にも落ちそうな人に知っている人を少しでも増やしてその人まで届けたい
のだという。
家出から戻ると、東京工業大学に入学。その後日本IBMやクックパッドでエンジニアとして働きながら、いつか食堂をやろうと考えていた。そして、会社を辞め、サイゼリヤや大戸屋などの外食屋で修行を積み、2015年に未来食堂をオープンさせた。
常識にとらわれない型破りな食堂は話題となり、様々なメディアにも取り上げられている。
未来食堂の理念は「誰もが受け入れられて、誰もがふさわしい場所」であり、いまは飲食店という形で未来食堂ができているが、今後誰かがこれをまた別の形にしてくれるのではないかと考えている。
そこまで自分は走り続けて未来食堂というブランドを高めていく、それが自分のやるべきことではないかと考えている。
貧困のこどもたちの新しい居場所:こども食堂
いま、日本の子どもの6人に1人が貧困だと言われている(相対的貧困)。この相対的貧困世帯とは親子3人なら可処分所得が217万円未満の状態を指す。絶対数だとこれは300万人以上にものぼるという。
そんな貧困のこどもたちが集まる場所が、こども食堂である。地域のボランティアが中心となって、こども50円、おとな100円にて料理を提供している。埼玉県川口市にあるこども食堂では、ここに来る半数が生活保護世帯である。
去年スタートしたこの川口こども食堂は、決まった場所はなく、市の施設などを活用して月に1回〜2回開催している。いま、こうしたこども食堂は全国に広がり、その数は300ヶ所を超えた。貧困が進む中、こどもたちの新たな居場所として注目されている。
そもそも、こども食堂という名前は、東京都大田区で誕生した。それが、5年前に開設されたこども食堂「だんだん」である。週1回、木曜日の夜にオープン。この日用意されていたのは、まぐろの漬け丼。こどもであれば、それが100円で食べることができる。実はこのマグロ、近所の人の差し入れ。こうした寄付が毎回のようにあるのだという。
このこども食堂の店主が、近藤さんである。こども食堂のコンセプトは、子ども一人でも安心して入れる食堂であるが、大人も大勢食べに来ている。貧困のこどもに限定せずに受け入れている。
その理由を近藤さんは…
子どもは困ったとは言わないし、家の困っていることを隠す。また親をかばう。朝ごはんを食べていなくても「食べてきた」という。だから、貧困の子どもに、ではなく、みんなに食べてという考えでやっていけば、みんなが食べられる。
午後8時過ぎに店は閉店。この日はいつもより多めの50人が来店し、売上は¥15,900だった。持ち出しになることもあるが、基本的には赤字になることはないという。
近藤さんの本業は、有機野菜を取り扱うこだわりの八百屋である。
なぜこんな活動をするようになったのか…。そのきっかけは”バナナ1本”で暮らす子どもの存在である。
7年前の夏、近くの学校の教員が近藤さんにこんな話をしたという。
「うちの学校に給食以外はバナナ1本で過ごしている児童がいる。」
母子家庭で母親が病を抱えている子どもだったが、現代の日本にそんな子どもがいるとは思っても見なかったし、バナナを食べる後ろ姿を想像しただけで切なくなり、もしその子どもがこの”こども食堂”で食べられるようになれればと思ってはじめたのがきっかけであった。
この活動がきっかけとなり、全国でもさまざまな場所でこども食堂が広がっており、近藤さんは引っ張りだこの状態である。