こんにちは。ひとりで.comです。
2017年8月28日放送の未来世紀ジパングは「中国異変!知られざる日本”爆進出”〜メード・イン・ジャパンの真実〜」と題した中国特集。
中国企業の日本進出が、かつてないペースで進んでいる。
かつての「爆買い」ならぬ「爆進出」の様相だ。特に目立つのがサービス業。8月には中国で最も知られる老舗ラーメンチェーン「蘭州ラーメン」が激戦区の東京中心部に進出。
さらに中国でブームとなったサービスが次々に日本に進出。さらに中国の製造業も静かに日本進出を始めていた。「メード・イン・ジャパン」を日本国内で中国人が作る時代が訪れようとしているのだ。
”爆買い”ならぬ”爆進出”
【目次】
神田に進出した中国の有名ラーメンチェーン:マーズルー牛肉麺
2017年8月、東京神田の神保町にある店がオープンした。そのお店というのが「マーズルー牛肉麺」である。このお店、中国では誰もが知る有名なラーメンチェーン店である。それが今回、日本初上陸を果たしたのである。
メニューは牛肉麺のひとつのみ。たっぷりのパクチーにラー油、牛骨と牛肉をたっぷり煮込んだスープ。一番の特徴は、注文をうけてから打つという麺である。
マーズルーは甘粛省蘭州市が発祥で、約100年前に創業した。そして今や中国全土に展開している。日本でも調味料から香辛料まで中国から持ち込み、本店と同じ味を再現している。初の海外進出とあって、オープン初日は幹部も様子を見に来ていた。
ついに日本上陸。シェア自転車のモバイク
中国で空前のブームとなっているシェア自転車がついに日本に上陸するという。シェア自転車の最大の特徴はどこでも乗り捨て自由という点である。
2017年5月に未来世紀ジパングでも特集した。
使い方は、専用のアプリで自転車についているQRコードをかざす。すると自転車のキーロックが外れる。料金は30分以内で16円と格安である。料金はアプリ内で自動決済される。この手軽さが人気の秘密である。
サービス開始からわずか1年ほどで30社もの企業がシェア自転車に参入している。
中国発の交通革命と言われるシェア自転車。
業界最大手のモバイクは2015年創業で世界最大のシェア自転車企業である。わずか1年半でユーザーの数は1億人を突破したのだという。
創業者のコ・ウェイウェイ氏。経済誌のジャーナリストだった彼女は2年前に一念発起した。いま中国で大注目の若手起業家である。
モバイクの特徴は、IT技術を使った管理システム。シェア自転車についているソーラーパネルで充電を行い、GPSも搭載されている。これによって、シェア自転車の位置を正確にすることができる。利用者はこれで、どこにシェア自転車があるかをすぐに確認することができる。
さらに利用者が走った走行データをビッグデータとして解析することによって、どこに何台自転車が必要かを自動で計算することができる。
そんなモバイクのキーマンは、イギリス人の海外事業総責任者、クリス・マーティン氏である。英語・中国語・日本語が堪能。
世界展開を目論むモバイクが海外展開の足がかりとして選んだのが日本だった。規制が厳しい日本で成功すれば、絶好のPRになると考えているのである。
日本初上陸の地に選んだのが、北海道札幌である。北海道は中国人からも大人気の観光地であり、年間約50万人が訪れる。モバイクを使い慣れた中国人に札幌の地で使ってもらい、浸透させていこうという狙いである。
モバイクジャパンの木嵜基博氏は、札幌にて自転車を置く場所の確保に奔走していた。札幌市役所に市が管理する駐輪場を貸してもらう交渉に赴いた。札幌市は駅前などに多くの駐輪場を保有している。ここが借りられると、大きな前進となる。
しかし、札幌市側は路上放置されることを大きな懸念としていた。札幌市は現状でも迷惑駐輪に悩まされているため、これ以上路上放置を増やす訳にはいかないのである。ここが中国との大きな違いである。
そこで、次の手として考えたのが、北海道で1,200店舗以上を展開するコンビニチェーン、セイコーマートである。駐輪場が来店につながると好感触だった。さらに、北海道を中心に展開するドラッグストア、サッポロドラッグストアーにも交渉を持ちかけた。お互いメリットがあるとすぐに交渉がまとまった。
2017年8月22日、いよいよ日本でモバイクが始動した。日本での料金は30分で50円。
シェア自転車はモバイクだけでなく、オッフォも2017年9月以降、東京・大阪でサービス開始となるという。
アリペイが日本上陸。
中国最大手のネット企業「アリババ」。その傘下の電子決済を担うサービスがアリペイである。2018年の春に日本進出を予定している。
中国ではその普及率はすさまじく、近年では、賽銭箱もホームレスの物乞いもQRコードとなっているという。
中国での電子決済はアリペイだけでも4億人が利用している。
ジョホールバルのFOREST CITY
マレーシア第2の都市、ジョホールバル。ジョホールバルと聞くと、日本人が思い出すのが1997年の”ジョホールバルの歓喜”である。サッカー日本代表が初のワールドカップ出場を決めた地である。
いま、ジョホールバルで最も注目を集めている企業がFOREST CITYである。FOREST CITYは中国の企業で、ジョホールバルに東京ドーム426個分の埋立地を作り、そこで新たな都市づくりという壮大なプロジェクトを行っている。
このFOREST CITYでは、道路は全て地下に埋め立てられ、町には電車しか走らせない。
このプロジェクトに対する投資総額は5兆5,000億円。投資企業は、アリババ・ファーウェイ・中国銀行など大手企業が名を連ねる。マレーシアの地でオールチャイナがプロジェクトに挑んでいる。
将来的にこの都市は、ジョホールバルの人口50万人を越える70万人の巨大都市になる計画だという。
まだ建物が完成していないにも関わらず、高層マンションはほぼ完売で客の多くは中国人。
さらにFOREST CITYは地理的にシンガポールとも近く、この地専用の出入国管理所が設置される予定なのだという。
日本にも広がる中国の爆投資
マレーシアのように爆投資が行われるのは、日本も同様である。例えば、北海道の星野リゾート トマムは約183億円で買収している。さらにホテル雅叙園東京も約1,430億円で買収されている。さらに臨海部のタワーマンションも中国人が投資目的で購入しているケースが増えている。
一方、中国政府は2017年、海外への投資を規制し始めた。中国のお金が海外に流出してしまうと人民元が安くなってしまうためである。
MADE IN JAPANの逆モデル?
これまで製造業と言えば、日本企業が海外に拠点を作り、そこで製品を製造するというモデルが一般的であったが、人件費の高騰なども手伝って、新たな展開が起こっている。それが、中国企業が日本に来て、日本で工場を建てて生産するという形のMADE IN JAPANである。
中国上海で創業20年目を迎えた上海慎興ブラシという企業がある。従業員は約100人。ここで製造しているのは、電気シェーバーの大手、ドイツのブラウン社のシェーバーについている掃除用ブラシである。ブラウン社から一手に引き受け製造している。
他にも世界の大手メーカー20社と取引しており、さまざまなブラシを年間約1億個を受注生産している。
大手企業からの厳しい要求に応えるため、検品は社長自らが行う。
そんな上海慎興ブラシは日本の大阪からの熱烈なオファーもあり、日本で起業する事を決断した。日本での企業名は、慎興ブラシ株式会社。
日本での起業を決めた理由は、これまでの受注生産ではなく、”自社製品を作りたい”と考えていたからである。
工場で働くのは日本人である。機械に頼れないのが品質管理であり、ミスを逃さない検品作業が何よりも重要なのである。
日本で作った歯ブラシ ワンサードを中国に輸出する。日本で作った製品は中国で販売するのだという。歯ブラシのパッケージには日本製の文字がプリントされていた。
中国企業による日本進出は既にはじまっており、通信機器世界第3位のファーウェイは千葉県に研究開発拠点を作り、将来は生産もする計画がある。
先日も新入社員の月給を40万にする…と言って、一時期話題にも登った。
それ以外にも、自動車メーカーの長城汽車、カメラメーカーのフェニックス光学なども開発拠点を日本に移し始めている。
こうした中国企業による日本進出を後押ししている街がある。それが神奈川県横浜市である。現在、上記の自動車メーカーの長城汽車、カメラメーカーのフェニックス光学をはじめ、30社以上が進出を果たしている。
横浜市は、進出してくる企業には5年間の税優遇や助成金制度などの支援策を行っている。そして、市内の中小企業を引き合わせることによって市内の発展を促進させようとしている。