[ガイアの夜明け] ( ローソン / 紀ノ国屋 ) シリーズ「激変!ニッポンの消費」第2弾 食欲の秋を制する! ~おにぎりVSサンドイッチ~ – 2017年11月14日

ガイアの夜明け
LINEで送る
Pocket

 

こんにちは。ひとりで.comです。

2017年11月14日放送のガイアの夜明けは「シリーズ「激変!ニッポンの消費」第2弾 食欲の秋を制する!~おにぎりVSサンドイッチ~」と題して全面的にリニューアルをするローソンのおにぎり、老舗スーパー紀ノ国屋の看板商品ドイツパンの新たな食べ方の提案について特集します。

 

小売業界に新たな旋風が吹き荒れている。そのひとつが、会社や店舗の統廃合が近年相次いでいて、熾烈な戦いを繰り返すコンビニ業界。

業界トップのセブンイレブンを追い抜くため、ローソンはコンビニの代名詞ともいわれる「おにぎり」の大改造計画を遂行する。

一方、老舗高級スーパーの「紀ノ国屋」が40年以上前から作り続けてきた本場仕込みの「ドイツパン」の巻き返しを図る。若者に人気の”レシピツール”を使って、これまでにないサンドイッチの開発に動き出した。「おにぎり」vs「サンドウィッチ」。

“食欲の秋”を制するのは?新たな小売業界の取り組みを追う。

 

食欲の秋を制する! ~おにぎりVSサンドイッチ~

 

ローソンのおにぎり大改革プロジェクト

 

宮崎県の最南端、串間市の沖合いを進む漁船。その漁船に乗っていたのはコンビニエンスストア:ローソンのおにぎり開発責任者の堤洋平さん(39歳)。その先の養殖場では、ぶりが放流されていた。この流れの強い海域でぶりを養殖することで天然にも負けない身の締まったぶりを手に入れることができる。

 

このぶりを使ってローソンの新おにぎりを作ろうとしていたのである。

ローソンのおにぎりプロジェクトのメンバーは総勢10名ほど。半年以上もの間毎週会議を重ねて案を出してきた。チームリーダーの堤洋平さんはこれまで2年半に渡っておにぎり開発に携わりこれまでに150以上の新商品を立ち上げてきたヒットメーカーである。

 

ローソンは2002年11月に「おにぎり屋」を立ち上げ高級路線のおにぎりを業界で初めて出すと大ヒットした。しかし、ライバル各社もその後同様の商品を出し差別化ポイントが薄れてしまったのである。

さらに今年、業界第三位だったファミリーマートがサークルKサンクスと経営統合したことによって、国内の店舗数ランキングで2位から3位に転落してしまった。危機感が増す中で仕掛けるのが今回のおにぎり大改革なのである。

 

※2位のファミリーマートについては、カンブリア宮殿でも特集されています。

 

この日の議題は、堤さんが特に大きくリニューアルを考えている焼き鮭ハラミのおにぎりに関してだった。15年前の改革の際に開発された焼き鮭ハラミはひとつ168円。

油の乗った大きな鮭の切り身がのっているのが特徴です。高級おにぎりシリーズの中では売上No.1の人気商品でもある。

 

焼き鮭ハラミ
焼き鮭ハラミ

 

しかし、お客さまアンケートには、具の大きさが均一でなく、中には小さすぎるものもあるのだという。

この課題を解決するために堤洋平さんが向かったのがタイのバンコク。ここに提携先の工場があるのだという。南米チリで養殖されたサケをバンコクで加工し日本の工場に送っているという。

ここで使用されているサケはものによって大きさにばらつきがあった。特に小さなサケからとれるハラミの部分は小さくなってしまう。堤洋平さんは、工場担当者に小さな部位は使わないように指示するも、生産性が悪くなるという理由で拒否されてしまう。

それでも、残った部位に関しては別の用途で使うという約束とともに今後は使わないということで合意を取ることができた。

次に堤洋平さんが訪れたのが、サケが保管されている冷凍倉庫を視察。十分なサケが確保できているように見える数だったが、日本食などの人気によりチリ産のここ1年でサケの相場は1.5倍に高騰しているのだという。

 

価格の高騰に関しては打開策が見つからないまま帰国し、上司への報告を行った。その上司とは15年前のおにぎり改革の責任者で社内ではおにぎりのレジェンドと呼ばれる商品本部 本部長補佐の伊藤一人さん。

チリ産サケの価格高騰にうなずくも、単純なおにぎりの値上げには納得せず。単純な値上げはお客さんは認めてくれない。価格を上げるからには何かしらの付加価値をつけよ、と指示がおりた。

 

新しいおにぎりに付加価値を

 

それから2週間後、堤洋平さんは課題解決に向けて愛知県のイチビキという会社の工場を訪れていた。このイチビキという会社は昔ながらの製法で味噌や醤油などを製造し全国に販売しているメーカーである。

実は、堤洋平さんはこのイチビキのある調味料に注目していた。それが塩麹である。食材をやわらかくし、旨味を引き立てるとされる塩麹。魚特有の臭みもやわらげてくれるのだという。

堤洋平さんはここの塩麹を焼き鮭ハラミに使いたいと考えていたのである。


 

新商品まで発売1ヶ月を切った神奈川県厚木市の日本クッカリー厚木工場に、堤洋平さんの姿があった。ここはおにぎりの製造を委託している工場である。ここで、塩麹 を混ぜた焼き鮭ハラミの試作品を作ろうとしていたのである。

これまでの焼き鮭ハラミは250度のオーブンで6分焼く設定で行っていた。しかし、同じ設定だと塩麹 を混ぜたこともあって、焦げてしまった。何度も温度を設定を変更して、オーブンの温度・長さを調整した。

数日後、試作品のプレゼンの場を迎えた。おにぎりのレジェンドからも高評価を得ることができ、正式に商品化されることが決定となった。

 

2017年10月31日、新しいおにぎりの販売当日。客が次々と新しくなったおにぎりに手を伸ばしていた。店舗によっては焼き鮭ハラミが2倍以上売れた。全店舗でも、おにぎりの販売個数は前の週よりも2割増となった。

 

 

スポンサードリンク

老舗スーパー紀ノ国屋のドイツパン

紀ノ国屋
紀ノ国屋

老舗スーパーの紀ノ国屋。これまでスーパーとして数々の新しいサービスを導入してきた。1953年には、売場で商品を選びレジで精算する方式を導入、さらにクラフト製の紙バックやショッピングカートの導入も紀ノ国屋が初めてだったという。また、1956年には、店内でパンを焼き店頭に並べるスタイルも導入した。

そんなパンの中で紀ノ国屋の象徴とも言えるのが、ドイツパンである。いま、このドイツパンを使った新たな挑戦を紀ノ国屋はスタートさせていた。

 

東京西荻窪の駅ビルにオープンした紀ノ国屋 西荻窪駅店。都内を中心に他に23店舗を運営している。紀ノ国屋のウリは、ちょっと高くても思わず手に取りたくなる品揃えである。

例えば、ちょっと贅沢なたまごかけごはん用のトリュフ入りしょうゆや高級オリーブオイルなどを取り扱っている。

こうした商品は自社工場の紀ノ国屋フードセンターでも製造している。中でもドイツパンは50年以上前から作り始めた看板商品である。ドイツパンはライ麦を使用するため、小麦に比べて粘り気がない。作るのが難しい商品なのである。これを自家製酵母で焼き上げるのである。

ところが、売場を見てみるとドイツパンがあまり売れていない。値段も4切れで194円とちょっと高めである。

この状況をなんとかしたいと考えていたのが、紀ノ国屋 副社長の高橋一実さんである。

 

ドイツパンとデリッシュキッチンのコラボレーション

 

このドイツパンの売上を伸ばそうと紀ノ国屋が頼った会社が東京六本木に本社を構えるエブリーである。エブリーは2015年創業のベンチャー企業で料理動画サイト「デリッシュキッチン」を運営している。

栄養士の資格を持ったおよそ20人がアイディアをひねり出し、その作り方を1分動画にまとめサイトにアップする。誰でも簡単に作れるとあって、今や1,100万人が利用する人気サイトとなっている。

今回の紀ノ国屋のレシピ担当は池田美希さん。これまでも大手企業とのコラボレーションで新たな料理をいくつも作ってきている。

例えば、雪見だいふくを使ったアイス大福や柿の種を使った料理など企業が思いつかないレシピを考え、定番商品をヒットさせているのである。

 


池田美希さんは大学で栄養士の資格を取得し、一度は食品メーカーに就職したが、料理好きが講じて2017年、エブリーに入社した。

今回、紀ノ国屋から、これまでにないドイツパンの新しい食べ方を提案して欲しいと依頼を受けたのである。

 

ドイツパンは、生地が荒いため、水分の多い野菜と合わせると手がベトベトになってしまう。したがって野菜との相性が悪いのである。

 

紀ノ国屋との第1回目の試食会。この時用意したのは、見た目も鮮やかなサンドイッチ6種類。ドイツを意識したポテトやソーセージ、黒いパンに白が映えるベーコンエッグなどを用意した。

しかし、高橋一実さんの表情が浮かない。

曰く

紀ノ国屋のベーカリーにまさに同じようなものが普段から置いてある。我々の想像を超えるものを作って欲しい

と言い放ち、用意したサンドイッチに口も付けてくれなかった。

一週間後に再チャレンジのチャンスをもらったものの、ゼロからのやり直し…もう失敗はできない。いったいこの後どんなアイディアを盛り込むのだろうか。

 

レシピ担当の池田美希さんは初心に戻って、紀ノ国屋のスーパーでアイディアを考えることにした。

ドイツパンは生地の目が荒いため、水分の多い野菜を使うことは一度諦めたがパプリカやアスパラなどをサイの目上に切り、それを卵や食材と混ぜ、電子レンジで温めてオムレツにした。これを豪快にドイツパンに乗せてオムレツパンを作り上げた。卵で野菜を包んでいるため、水分がパンに染み出すこともない。

さらに、もう1品。濃い目のコーヒーをドイツパンに浸し、それをいちごやバナナ、クリームなどを乗せたドイツパンで挟むことでティラミス風のドイツパンを作った。

これらの商品をもって、第2回の試食会に臨んだ。今後は実際に食べてもらい、高橋一実さんもその商品の出来栄えに納得してもらった。

 

まずは、オムレツパンの簡単レシピ動画を作ることで合意を得ることができた。できあがった動画が以下の動画である。


その後もドイツパンは売れ、通常の4倍の売上をあげることに成功したという。この動画はリリース1週間で45万回以上再生された。

 

 

コンビニのおにぎりやスーパーで売られている焼きたてのパン。どちらも既に我々の食生活の中に当たり前にある。そうした状況の中でさらなる消費拡大を狙うためには、新しい刺激や変化が必要だと感じられた。

おにぎりとサンドイッチ、今回の企画がゴールではない。ここからがまた新たなスタートになるのではないでしょうか?