こんにちは。ひとりで.comです。
2017年11月21日放送のガイアの夜明けは「シリーズ「激変!ニッポンの消費」第3弾「進撃!スーパー戦国時代」」と題して全国の変わったスーパーについて特集する。
ニッポンがいま直面している少子高齢化問題。
衣食住の”食”に目を向けると、「人口減少」により胃袋の数は少なくなり、「高齢化」により胃袋のサイズは小さくなる一方だ。大きく変わり始めた食の消費行動に、全国の地方スーパーは苦境を強いられ、生き残りのための新たな対応を迫られている。
そんな中、北海道札幌市にある食品スーパーは、食事、医療も含めた健康管理で「徹底的に高齢者に寄り添う」策に打って出た。一方、三重県鈴鹿市の食品スーパーは、会員の全世帯に宅配ロッカーを無料で設置など、高齢者を支える宅配サービスで急成長。
さらに、暮らしのあらゆる「困りごと」に応じる新たなサービスを開始していた。従来のスーパーの枠を超えた戦略で、超高齢化時代に立ち向かう挑戦を追う。
進撃!スーパー戦国時代
都心で敢えての八百屋スタイル:旬八青果店

1957年、「ダイエー」前身である大栄薬品工業が創業。その4年後の1961年にはイトーヨーカ堂の前身である「ヨーカ堂」がチェーン政策に着手。衣食住に関わる大量の商品が並び次第に店舗は大型化していった。
欲しいものが手に入る世の中にはなくてはならない存在だった。しかしその後、コンビニやドラックストア、大型ショッピングモールの出店により競争相手が激増。いまや戦国時代さながらの戦いが繰り広げられている。
東京五反田では、大型スーパーが軒を連らね、凌ぎを削っている。そんな中、駅から少し離れた場所で、スーパーとはちょっと違ったやり方で繁盛しているお店がある。
それが、旬八青果店である。
※旬八青果店については、2017年2月にクロスロードで特集されています。
オープンしてまだ4年と短いが、さながら昔ながらの八百屋さんのような作りとなっている。接客も昔ながらの対面販売で、これが客の心を掴んでいた。客のほとんどが常連だという。狭い店内には、聞きなれない野菜も数多く取り揃えられており、近所のスーパーではまず手に入らないものもある。
売場は6坪ほどだが、1日平均で15万円を売り上げる。多い日は30万円を超える日もあるのだというから驚きである。
旬八青果店は赤坂や目黒などの都心部を中心に10店舗を展開しておりそのうち5店舗を昔ながらの八百屋スタイルにしている。
その旬八青果店を運営するアグリゲート社長の左近克憲さんは…
スーパーと比較しても、狭い場所なので商品もお客さんにもより行き届いたサービスが提供できる
のが、旬八青果店の強みだという。
旬八青果店では、野菜の仕入れは社長の左近克憲さん自らが行っている。この日は長崎県雲仙市のブロッコリー畑に足を運んでいた。
このブロッコリーの葉に注目した左近克憲さん。ブロッコリーの葉は鮮度を保つのが難しいため、市場に出回ることはほとんどなく捨てられてしまう。しかし、ビタミンCなどを豊富に含んでおり栄養価が高いのだという。ブロッコリーとともにブロッコリーの葉も仕入れ、お客さんとの会話のきっかけにしようと考えていたのである。
ホクノー健康ステーションでスーパーに高齢者を:ホクノー

北海道札幌市にあるホクノーというスーパー。創業は1971年で札幌市内に6店舗を展開している。中堅スーパーであるが、客のほとんどが高齢者となっていた。
8年前に父親から会社を引き継いだ現社長の野地秀一さんはこの現状に頭を悩ませていた。
野地秀一さんは地元で生まれ育った後東京理科大学を卒業し、北海道拓殖銀行に入行し為替取引などを担当していた。しかし、1997年バブル後の不良債権の焦げ付きなどにより拓銀が経営破綻した。それを機に野地秀一さんは、ホクノーに入社した。
入社した当時は、チラシを巻けばお客さんが集まる…そんな時代だった。しかし、急速な高齢化により、この20年で売上は約4割減少し現在は約36億円となっている。
そこで野地秀一さんは、団地の高齢者を巻き込んで大勝負に打って出ようと団地の代表と話をすすめていた。
それが、スーパーの中をサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)のようにできないかという計画だった。サ高住は集合住宅に医療などの専門家が常駐し食事や介護サービスを提供している。
名付けてホクノー健康ステーションである。
店舗の2階にあったゲームコーナーを全て改装し、自社で運営する食堂にて高齢者向けのオリジナルメニューも開発した。
2017年11月、オープン当日には、多くの高齢者の姿があった。高齢者の健康寿命を伸ばそうと、健康相談ができるスペースを設置したり、店内にウォーキングコースを作り、歩いた歩数と連動してポイントがたまる仕組みを作り上げた。
高齢者に何でもサポート!三重県のスーパーサンシ

三重県四日市市。約40万人が暮らす工業都市である。この地域にあるのが、スーパーサンシである。店内には新鮮な魚や旬な野菜が手頃な価格で並んでおり、多くのお客さんで賑わっていた。
朝早くから、スーパーの事務所の一角に設置されている宅配受付センターでは多くの電話が鳴り響いていた。
お肉の脂身は多いところと少ないところの半分ずつ
といった、細かい注文も全て対応していた。
こうした注文は1日平均約3,000件もあるのだという(電話とネットの合計)。多い日には5,000件を超えることもあるのだという。朝受けた注文は夕方17時までには必ず配達を行う。
配達のために、スーパーサンシでは、140台もの軽トラックを保持している。
さらに、宅配時の不在をなくすために、スーパーサンシが宅配ロッカーを無料で貸出している。そのため、不在時の再配達もないし、お客さんは宅配を待っている必要もない。さらにお客さんの資源ごみを回収するサービスまで行っている。
この宅配サービスの利用料は月額516円。高齢化もあって、会員数は約1万7,000人にものぼるという。
スーパーサンシは三重県内に13店舗を展開しており、宅配を中心とした地域密着のサービスで年間約286億円を売り上げている。
宅配サービスに乗り出したのは、約40年も前のことだという。そのきっかけはスーパーサンシの高倉会長のある危機感からだった。
40年前はコンビニが台頭してきた時代で、その後高齢化社会が来ることが予想された。したがって、これまでのお客さんに来てもらう殿様商売じゃなく、宅配を行う親切商売が必要だと考えた
のだという。
しんなスーパーサンシが新たにはじめたのが、何でもサポートである。その名の通り、お客さんの要望を何でもサポートするサービスである。宅配会員限定のサービスであるが、これまで行ったサービスとしては、
- お墓参り代行
- 包丁研ぎ
- 耐震家具の固定
など、スーパーとは一切関係ないものでも引き受けてきた。依頼者の多くは80代などの高齢者が中心だという。
これまでは生活に必要な品を提供してきたスーパー。しかし、商品だけではなく生活に必要なサービスの提供も始めていた。もはや、従来のスーパーの枠にとどまっていては生き残れない時代となっている。さまざまなライバルとの戦いの中、スーパーはこれからどんな進化を続けていくのだろうか。